【13】
免許更新
「身分証明は何かお持ちですか?」
レンタルビデオ店の会員になる時に必ず訊かれる言葉
身分証明に使用されるのは、ダントツで運転免許証
そんな免許にまつわる話
今から数年前の出来事
免許を持っている方はおわかりでしょうが三年に一度、自分の誕生日に更新時期が訪れます
日曜日も更新手続きができますが、当時の私は平日しか更新できないものだと思い込んでいました
誕生日の前日になって慌てて有給休暇を取得
真夏の照り返しを浴びながら、一路免許センターへとクーラーの壊れたマイカーで向かいます
自宅から約40分ほど距離の離れた場所にある免許センター
毎年違反している私は過去一度たりとも近所の警察で更新したことはありません
途中で渋滞にハマり約50分で現地に到着
ゆうに1000台以上は停められる駐車場の半分以上が埋まってました
「あちゃー混んでるな」
独り言をつぶやきながらも、急いでクルマを停め受付で必要書類を貰います
住所、氏名、年齢など、記入用紙をざっと眺めていました
そうしているうちにも、後から後から更新へ訪れる人達は絶えません
平日だというのにこの人の多さは何だろう
「早めに着いてもこんなに人がいるものなのか?」
誰に語るわけでもなくつぶやいてました
すると隣の席から、
女 「休日はもっと多いらしいですよ、今日はコレでも空いてるほうだそうです」
同い歳ぐらいの可愛いらしい女性が優しく教えてくれます
俺 「ああそうなんですか、引っ越してきたばかりなんで、ここに来たのも初めてなんですよ」
女 「以前はドコにいらしたんですか?」
おっ食いついた!これは脈アリかもしれません
俺 「2ヶ月ほど前まで横浜に住んでいたんですよ」
女 「横浜いいなぁ。オシャレですよね、私なんて●●だし、両親と同居だし…」
訊いてないことまで喋ってくれます
それじゃ一番知りたかったコトを訊いてみます
俺 「今日はお独りですか?」
女 「ええ、親に送って貰いましたが、帰りは電車で帰ります」
イエスッと小さくガッツポーズ
俺 「も、もしよかったら、私が送りますよ。私もこのあと暇だし」
女 「えぇ、でもぉ…どうしよっかなぁ…迷惑じゃないですか?」
俺 「全然構いません。更新に来なければアナタみたいな素敵な女性に出会うコトもなかったんですから」
女 「素敵じゃないですよぉ私。あはは」
なんて他愛のない会話をしながら、一緒に更新手続きの用紙を埋めていきます
正直、免許更新なんて既にどーでもよくなってました
何なら明日に回したって構いません
俺 「へぇ、オレと2つ違いなんだ。あっ誕生日オレと一日違いだ」
女 「ああホントだぁ。今日誕生日じゃないですか!おめでとうございます!」
俺 「あ、ありがとう。まさか更新に来て誕生日祝ってもらうとは思わなかった」
女 「免許いつ取ったんですか?」
俺 「18の時だよ。●●美ちゃんは?」
女 「あたしも18の時です。一緒ですね!」
お互いの免許証を見比べながら楽しい会話が弾みます
写真が変だとか、髪が長かったとか
ふと●●美ちゃんが首をかしげながら免許を指差し訊いてきます
女 「ん、あれ?ねぇ、これ…」
俺 「ん、何?」
私の免許更新、来年でした
よく考えれば18歳で免許取ってる二人が時を同じくして更新するはずは無いわけで
有給使ってまで来るこたぁないだろ自分!
みんなも、更新する年ぐらい憶えていましょうね☆
あはは、私だけじゃないと思いたい…
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