【07】

I'm busy

既に会社辞めた後輩ネタ

メガネのオタ系フェイスに究極の胃袋を兼ね備えている

そんな彼(F君)のエピソード

「キーンコーンカーンコーン」

午前9時のチャイムが鳴り響く

各自一斉に作業へ取り掛かる

私の仕事はコンピュータ関係

当時の私は属にいうプログラマーでした

顧客先への納入が間近に迫り、焦る部長を尻目にFはのんびりコーヒー飲んでます

緊張感のカケラもなし

いい度胸してます。あくまでマイペース

「お前そんなにノンビリしてる暇あるのか?納期週末だぞ」

そんな先輩の言葉にさえ

「はいはい、頑張りまーす」

面倒そうに空返事

始業時間から1時間程たった頃でしょうか

おや?Fの姿が見当たりません

「アイツ知らない?」

先輩が私に訊きます

「さあ、トイレですかね?」

「トイレで寝てんじゃないのか?ちょっとお前行って見て来い」

(…なんでオレなんだよ)胸の中で先輩をバッシング

トイレを覗きます。誰もいません

「いないっすよ、ドコ行ったんすかね」

「アイツ仕事終わりそうか?」

「知りませんよ、オレだって終わるかわかんねーのに」

キーボードを叩きながら、イラつき気味に私も答えます

私も重度のバグ(エラー)が直らず昨日から徹夜してます

時間に追われる職業柄、結構プログラマーはストレスを強く感じます

みな殺気立っている中、Fは忽然と行方不明

本当にFはドコ行ったんでしょうか?

20分後、人の気配を感じディスプレイから目を移しFの席を見ると、いつの間にか、ちゃっかりFは席に戻って仕事してます

「お前ドコ行ってたの?」

「ちょっと外の空気に当たってリフレッシュしてました」

「リフレッシュって…まだ1時間しか経ってないだろ。お前仕事終わるのか?」

「さあ…」

さあってお前の仕事だろ!?

間に合わなかったら、ゴメンじゃ済まないってわかんないのか?

ま、まぁあまり怒ってもしょうがない

自分の事で手一杯な私は作業に戻ります

怒るのは部長なり先輩に任せておけばイイ

どうせ私が言ってきくようなヤツじゃありません

「F君ちょっと」

ほらみろ、早速部長からお呼び出し

「お前、納期には間に合うんだよな」

「もちろんですよ、あと少しです」


…その自信はどっから来るのかオレは知りたい

「うん、だったらいいが、どこに行ってた?」

「すみません。少し作業が煮詰まってしまい、気分をリフレッシュするために外の空気を吸ってました」

「そ、そうか。でもみんな仕事してるんだから、士気を下げるような真似はするなよ」

「はい、すみません。以後気をつけます」

ヤレヤレといった表情で席に戻る

とその時、同期入社の後輩が思わず叫ぶ



「に、肉臭せ〜。お前吉野家行ってきただろ?」


フロアに響き渡る彼の声

吉野家は会社の斜め向かい

オレンジの看板も高々に今日も朝から営業中です

みな一斉に顔を上げ視線が二人に集中します

「馬鹿、お、お前大きい声で言うなよ」

かなり動揺し慌てるF君

でもね…全員が手を止め見守る中、どんなに小さな声でツッコミしても無駄

全員の耳に君の声まで聞こえます


部長 「F!ちょっとコッチ来い!吉野家って。き、貴様〜」

F   「な、殴るんすか?ボクを殴るおつもりですか?ちょ、ちょ、痛いんですけど」

胸ぐら掴まれて会議室に消える二人

社内は通常業務に戻ります


コンビニでパンでも買って食べてりゃ誰も気づかなかったのに…

馬鹿万歳!!

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