【01】

英会話学校

私には3つ歳の離れた弟がいる

彼の名はジュン

兄貴の私が言うのも何だが勤勉でクソ真面目

彼の大学生時代のエピソード

※私の苗字は仮に藤木(フジキ)とさせて頂きます


横浜では有名な大学に現役合格し、晴れて大学生になった弟

学業優秀者のみ、入学二年目にアメリカへホームステイが実施される

当然のように選抜され事前準備として英会話の学校へ夜間通うことに

慎重な彼は、電話で詳しい資料を請求し各学校を検討するようだ

資料を広げつつ、学費や教材、講師の質、タイムスケジュールなど真剣に悩んでいる

「どこでも一緒だろ?」

そんな私の言葉に対しジュンは

「いや、少数制を導入してないトコや講師が外人じゃないトコは論外だし、やはり比較検討は大事だよ」

更にジュンは言葉を続ける

「兄貴はいつも適当だから失敗するんだよ、もっと何事にも慎重にならなきゃ駄目だ」

子供だとばかり思っていた弟の成長に少し戸惑う兄

兄弟でこうも出来が違うのかと自分のことながら驚く

二晩掛けて比較検討、何度も電話で確認したり、実際に現場に出向いて体験入学したり

やはりこの弟、行き当たりバッタリの兄貴とは正反対

「ああ、オレ外人になりたいよ。こんなコトで丸2日間も悩まなくて済むのに」

天を仰ぎつつ、そう嘆くジュン

『日本人だって海外に行けば外人だろ?』 なんて考えながらも

「ジュンの慎重な対応ってオレには無い長所だよ。納得行くまで悩んでみろよ」

陳腐な兄貴なりに気を遣って声を掛けた


そして三日後、ようやく一箇所に決まった模様

「オレ、ここにする!」

慎重な上にも慎重なジュンが出した結論

私は反対どころかモロ手を上げて賛成する


そして数日後、自宅に入学願書が届いた



ヨコハマシ ナカク ●●チョウ ●●−●●●


フジキ ジョン 様


…ジュン、今ならまだ間に合う

ココは辞めといたほうがいい


こうして弟は念願叶ってめでたく外人になりました

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